かつて激痩せをきたした宮沢りえは
なぜ人気大物女優に成長できたのか?
摂食障害になった女性たちとの30年余りの交流の軌跡が話題の書に!
現代女性の心を惹き付けてやまないのが「細いからだ」。
つまり「瘦せること」。
また「瘦せることがすべて」という生き方をする女性は、日本はもちろん世界でも実は多く存在しています。
そんな女性たちを「瘦せ姫」と呼ばせてもらっています。
なぜ女性はそこまでして「細さ」にこだわるのか?
「激瘦せ」ということばがいまはもう一般化していますが、いったい日本ではいつから「激瘦せ」が身近なことばになったのか?
そのエポックメイキングになった芸能人がいます。
いまや大女優として活躍する宮沢りえ。
実は、彼女にとって契機になる出来事が1990年代にありました。
いま話題の書『瘦せ姫 生きづらさの果てに』の著者・エフ=宝泉薫氏が、日本芸能界における「激瘦せ史のカリスマ」について語ります。
宮沢りえ以前・以後。
日本における瘦せ姫の歴史については、そういう区分も可能でしょう。1995年に起きた、トップアイドルの「激瘦せ」騒動。メディアはそれを摂食障害によるものと診断し、世間も同調したことで大きな関心事となりました。
そんなりえの「変化」をテレビで最初に指摘したのは、タモリ。芸能界きっての容姿フェチであるこの人は4月10日『笑っていいとも!』のゲストに来た彼女を見るなり、驚きの声をあげます。
「また一段と細くなりましたねぇ」
この日のりえの衣裳は、身体にフィットした薄手の長袖ニットに、ミニ丈の半袖ワンピース。当時の雑誌記事(註1)には「誰の目にも10キロはやせてしまったように映った」「40キロもないはず」との見方が示されています。ちなみに、身長は168センチなので、なかなかの細さです。ただ、見出しには「〝激やせ〟りえの意外な明るさ」というフレーズも付けられていました。当時の彼女は「ダイエッターズ・ハイ」のような状態だったのかもしれません。
そして、半年後——。彼女はさらに、メディアと世間を驚かせます。10月3日に行なわれたゴルフイベントに、もっと瘦せた姿で登場。スラックスのなかで泳ぐ脚の頼りなさはもとより、何より衝撃的だったのは、途中で羽織っていたものを脱いだ際、半袖のシャツからむきだしになった腕の細さでした。肉が削げ落ち、肘の骨が飛び出すという、本格的な瘦せ姫のそれに変わっていたのです。